スティーヴ・ハケット電話インタビュー(2/2)
Genesis Revisited IIとまもなく始まるツアーについて
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GNC: ジョン・ギディングスの話がでましたが、彼はジェネシス、フィル・コリンズや最近ではメカニックスとも大規模なツアーをした事で知られていますよね。彼とのコネクションはどうやってできたのですか?
Steve: 彼はジェネシスが好きでギターファンでもあるんだよ。だから彼は私のアコースティックの作品がロック系の作品と同じくらい好きでね。彼がバンドとの活動をともにしたのは70年代の始めまで遡るんだ。彼とジェネシスのつながりがあったので、私は彼に電話をかけて「今あるアイデアがあって、 そのことで話したいんだけど。」っていったら、彼は、「君がエストニアのすごい数の観客の前でアコースティック・ギターを演奏しているビデオをみたよ」といって、私のアイデアというのがそのことだと思ったそうなんだ。で、彼はそのようなショーをやってみたいと思ったらしいんだけど、私はもっと大きなアイデアなんだよ、といったんだ。私は自分がジェネシスだとは思っていないけど、1977年に私たちがフィルがピーターに代わってジェネシスのショーをなし得たのと同じくらい、ジェネシスの真の姿に忠実なレベルでやることができると思うんだ。ジェネシス自らが自分達のある種のトリビュートになっていたというわけではないけど、我々が手直しをしてピーターがいたころのマテリアルをやっていることに人々は気がついていた。幸いジェネシス・ファン は本当に柔軟なのでそれを受け入れてくれたんだ。だからジェネシスの本当のスターは音楽だといえるね。私はバンドで何年も演奏したり曲を書いたりして、理想のバンドやライブにしようとその当時は努力していたんだ。 もちろん、独立してビジネス的にやっていけるようになってからもほとんどすべてでもそうなんだけど、2つを分けて考えることはできないと思う。私にとってのジェネシスあるいは、ジェネシスにとっての私が何かなんて、何もいえないと思う。2つは混ざり合った存在なんだ。だれもそれ以上は気にしないと思うよ。結局、もし音楽が好きならショーに来て、新しい解釈やオーケストラやたくさんのシンガーなどが取り込まれているのを楽しめばいい。一方で、もし、ジェネシスの完全バージョンが1971年の怪奇骨董音楽箱でピーター・ガブリエルだけがそれができる、と考えたなら、私はその意見を受け入れるよ。でも、ジェネシスは世界中をツアーしながら音楽のフランチャイズでもあることを証明したよね。私が考える他のどのバンドよりもたくさんのトリビュートバンドがあるでしょ。はっきりしているのは不自然さのレベルとか、音楽のクオリティーとか、そういうものによって、いろんなラインアップや解釈が淘汰されてくるんだと思うんだよ。いまでもあの音楽が好きでたまらないファンの人たちがたくさんいるでしょ。ちょうど、私があの音楽が好きなように。だけど、すべての音を思い出そうとしたりとか、 必要なスキルやプロフェッショナリズムのすべてを費やしてそれをやろうとしたりとか、そういうことで自分を苦しめようとは思っていない。私がこれをやるのは、まだこの音楽に関わりをもつことに情熱を感じるからなんだ。
GNC: ジェネシスでユニークなのは、ほとんど全員がそれぞれ異なるタイプの音楽でソロ・キャリアをもっているということです。あなたにとって、ソロ・アーティストからジェネシスの曲を再構築することに頭を切り替えるのは難しいことだったでしょうか?
Steve: すごく自然にできたよ。ジェネシスの曲を自分のショーにどんどん取り入れていけたし、だれもそのことをおかしいと思わなかった。批判などはまったくなかったよ。あとは、30%だったジェネシスの曲を100%にするのはごく自然なことだった。そのかわり残りの1年はとても忙しくなるけどね。だけど、同時に新しい曲も書いているんだ。自分が作った博物館の館長の類いにずっととどまってはいるのはいやだし、それでは意味がないからね。今はしばらくこういったことをしていて、それが楽しみになっているけどね。それから、オーディエンスみんながバンドに溶け込んで、一緒に歌い、手を叩き一つになるのが望みだね。音楽はバンドのメンバーのだれよりもずっと大きく、スターであり、思い出でもあるんだ。
GNC: ソロ・アルバムの曲は入れますか?
Steve: ジェネシスの曲にこだわるよ。でも、アマンダが入った時はShadow Of The Hierophantをやるつもりだよ。それはマイク・ラザフォードと書いたもので、ファースト・アルバムのVoyage Of The Acolyteからのものなんだけど、そのアルバムではジェネシスの3人のメンバーが参加してるんだ。その時はリハーサルもジェネシスとしたんだよ。エンド・セクションはマイク・ラザフォードのアイデアで、私はそれに新しい、より速いアレンジを加えたんだ。もし、ベートーベンとビートルズのクロスオーバーがあったら、その曲はまったく同じような印象になると思うな。彼女がいる時にはそれをやるつもりなんだけど、彼女は英国内に限定されていて、それを尊重しなければならないので、その機会はすごく少ないんだ。なので、ほとんど100%がジェネシスの曲で、ときどき違う曲をやるかもしれないけど、まぁ、基本的には、皆さんが目にするものが、手にするもの、ということになるね。
GNC: 初めてリード・シンガーがバンドにはいりましたよね。ナッド・シルヴァンがすべての曲で歌うんでしょうか?
Steve: ナッドがほとんどの曲で歌うけど、ゲイリーも何曲か歌うし、リー・ポムロイとハーモニーもやるね。このショーでは私はギターだけ弾くつもりでボーカルはやらないんだ。フィル・コリンズとThe Lamb Lies Down On Broadwayライブについて話あっていた時に、彼が「やるのはドラムだけにしたい」といっていたのを思い出すな。ある意味重要なのは、他の事に集中をそがれるよりもギターパートを確かなものにしなければならないし、ギターパートはそれだけで十分たいへんなんだよ、ほんとに。
GNC: 90年代に話を戻すと、最初のリビジテッド・アルバムではチェスター・トンプソンがドラマーでしたよね。彼をドラマーにしようと考えた事は? おそらくは2人目のドラマーとして。
Steve: うん、それは考えたんだけど、「いったい何人バンドに入れるのか?」ということを考えると、アマンダにも来てもらう事になっていたし、かなり早い段階で全て決まってしまっていたからそれは無理だったんだ。今回のショーではドラマーは一人で、それはゲイリーだね。将来的にもしショーをもっとやる ことになれば、もちろん、ドラマー2人というのを再検討するというのはあるけど、今のところはドラマーは一人でやることになっている。バンドとしては 初期の段階ではドラマーは一人で十分だったし、現実的な観点から最善の選択肢だと思う。ドラマーが二人いるのはトリビュートバンドでも人気があるこ とだというのは分かっているけど、今のところはこれが私の考えなんだ。
GNC: ツイン・ドラムスは、特にリード・ボーカルがフィルに替わった時に人気が高かったと思うのでお聞きしたいのですが、ツアーは2014年も続けられると思ってよいのでしょうか?
Steve: 今のところは予定していないよ。私が主に懸念しているのは、私が残りの人生をセルフトリビュートのために費やすつもりはないという事実に皆が気付くことなんだよ。私の頭にはあまりにも多くの新しい音楽があるんだ。新しい音楽は生きていくための血液だといえる。時々過去に戻って、もう一度解釈をしなおしてみる、というのはOKだよ。ピーターがSoやNew Blood Orchestraでやったようにね。「ノー、手ががまだ燃えていて新しいものをプレイする必要があると感じているし、自分を作り直したいんだ。」っていいたい時がくるのさ。それは心に固く決めているから、避けられないな。引退は他の人たちに任せるよ。
登らなければならないという気持ちのほうが落ちる事の恐怖よりも大きいんだ
GNC: ショーは上手く行っているという話がでましたが、会場が3倍の大きさになって、売り切れにもなっていますよね。今、プレッシャーは感じていますか?
Steve: もちろん、特別なプレッシャーはあるよ、大きな会場だけでなく曲についても。可能なかぎりベストの解釈で演奏しなきゃ、って思ってるよ。プレッシャーがないといったらウソになるね。だけど同時に、喜びとかを想像することのほうがプレッシャーよりも大きいんだ。ちょっと登山家みたいな感じかな。登らなければならないという気持ちのほうが落ちる事の恐怖よりも大きいんだ。曲がリスナーのハートや気持ちの中にあることは分かっている。一緒にやっているチームのハートや気持ちの中にもある。みんなこの曲を聞きながら成長してきた。だからそこにはたくさんの愛があるんだよ。とてつもなく大きな感情の公約みたいなものだ。
GNC: ステージ・ショーのプランは?
Steve: うん、ビデオ・スクリーンを少しやろうと思っている。まだ見ていないんだけどね。だから、ショーでどうなるかをいうのにはちょっと早いかな。だけど、今みんなでアイデアを練っているところなんだ。ビジュアル系のものがどれくらい進んでいるかチェックしようと思っている。LEDスクリーンとかあってエキサイティングだよ。
GNC: ショーのサポート・アクトはありますか?
Steve: いや、たくさんの楽器や機材がステージにあってショーは複雑だからね。サポートアクトはないよ。
GNC: 新しいアイデアについてはいかがですか?
Steve: まだギター・サウンドに恋してるからね、ギターをもっとエキサイティングに聞かせる方法を探しているんだ。私が音楽を作り始めた時にハマっってしまったのはギターの音そのものだったんだよ。それこそがエキサイティングなものなんだ。では、ギターの音をどうやってものすごく魅力的に聞かせたらいい? 私はニック・マグナスと一緒にやるのがとても好きで、彼の次のアルバムにも参加したんだけど、何曲かすばらしいサウンドとメロディーを作ったよ。最近こうしたゲスト・スポットでの活動をたくさんしてきたんだ。それと、私の弟の新しいアルバムにもアコースティックやエレクトリックの曲とかで何曲か参加している。いろいろなところでいろいろな人たちをやっているんだ。最近ではロンドンでトランスアトランティックとあることをしたんだけど、いつも楽しいよ! 他の人たちと働くことは単純にすばらしいことだと思うよ。人生を通して音楽をやっている人たちはピークに達することがない。彼らはずっと成長し続ける。若いポップスターが1つアルバムがヒットして他のことで人生を過ごしてしまったり、ひどいときにはドラッグをやったりして成功を台無しにしてしまったりすることがあるけど、完全に考え方が逆だよね。成長を求める人たちは一緒にいると、互いにどんどん良くなっていく。私はこのクラブのメンバーなんだ。
GNC: Djabeの作品に参加してますが、ビデオにも出ていますよね。 このビデオの中で戦車にのっていますが、どんな感じでしたか?
Steve: とても面白かったよ。私たちは戦車でブダペストの周辺をドライブしながら、このクレイジーなビデオを撮ったんだ。この日の撮影はいままでとったビデオの中でも一番寒かったな。1日中雨が降っていて凍り付きそうだったよ。Djabeの連中は皆とてもクレバーなんだ。世界中から集まった人たちと一緒に仕事をしていて、とても興味深くフレキシブルなやり方をしていると思った。彼らと一緒にジャムをする時に、もっとも重要な事は即興なんだ。プログレッシブ・ミュージックではアレンジに執着してバリエーションはやらないけど、Djabeにはそれは当てはまらない。Djabeのはジャズであり、ジプシー、中央ヨーロッパ、すべてだ。まあ、どんな時も私がだれといっしょにやるかは予想できないよ。
GNC: オーケー、スティーヴ、ツアーが無事にスタートすることを祈っています。
Steve: ありがとう、ツアーでお会いましょう。
Interview and transcript: Christian Gerhardts, by phone 17/03/2013
Photos: Jo Lehmann
The original interview and the photos were taken from genesis-news.com.
http://www.genesis-news.com/c-Steve-Hackett-Phone-interview-about-Genesis-Revisited-and-the-tour-2013-s530.html
I deeply appreciate Christian Gerhardts editor/manager of genesis-news.com for using the interview and photos by kind permission.
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